第403章 人質に取る

女は咲花の腕を乱暴に引き寄せた。「行くよ!」

咲花はもう、この女が悪い人間だと分かっていた。けれど、ボディガードはこの女にやられて意識を失っている。自分のそばには、守ってくれる人がもういない。

咲花は目を見開き、女に向かって叫んだ。

「ひどい! 悪い女! わたしをだました!」

階下に向かって「助けて!」と叫ぼうとした、その瞬間――女が素早くハンカチを口と鼻に押し当てた。

甘ったるい匂いが鼻の奥にねじ込まれる。

咲花は、そこで途切れた。

目を覚ますと、咲花はワンボックスの車内にいた。隣の席には、あの悪い女が座っている。

女は彼女を見て、薄く笑う。

「起きた? ちょうどいい。も...

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