第414章 公表

雪が上がったばかりの路面は、ところどころ凍りついて滑りやすい。マークスはキャリーケースを引きずり、足取りも重く、進む速度は遅かった。

背後から、ぱたぱたと急ぎ足の音が迫ってくる。

振り返らなくてもわかる。中村颯太だ。

追いついた中村颯太が、ぐいっと腕をつかんだ。

「マークス」

名を呼ばれた。

マークスはカッとなって、その手を振りほどき、歩みを止めない。

中村颯太が回り込むように前へ出て、行く手を塞ぐ。

「マークス」

今度の声には、宥めるような甘さが混じっていた。

マークスは立ち止まり、キャリーケースの持ち手に手をかけたまま、車道の上で顔を背ける。見ない。見てやらない。

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