第423章 遺言

翌朝早く、千葉清美は雲田幸也が入院している病院へ向かった。ここの医療スタッフとは顔なじみだ。

廊下で看護師が声をかけてくる。

「千葉先生、お久しぶりです」

「おはようございます。ご無沙汰しています」

雲田幸也の病室に着くと、雲田の父が彼女を見た。顔色を値踏みするように覗き込み、刺々しい口調で言う。

「千葉先生。あなたと福江良平の件は聞いている。今日はあいつの結婚式だそうだな。気分に影響はないのか? それで、うちの息子の手術がしくじったらどうする」

清美はわずかに目を見開いた。患者の家族は、銀王という例外を除けば、たいてい丁寧だった。こんな露骨な態度を向けられるとは思っていなかった...

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