第457章 屋上

福江良平に指輪を返すつもりでいなければ、とっくにあんなもの投げ捨てていた。

仕方がない。あの指輪を見るたび、胸の奥が妙に詰まる。まるで――福江良平が自分を欺いた証拠みたいで。

あのときは、彼が胸を張って言ったのだ。これからは残って、母子四人と一緒に暮らしていく、ちゃんとやり直すのだと。なのにどうだ。唐沢知子と結婚すると言い出した。

その婚礼が中止になったあとも、千葉清美の心にはしこりが残ったままだった。気持ちが悪い。

ふたりのあいだには、会話も信頼も足りない。立場だって対等じゃない。

清美は手に嵌めたばかりのダイヤの指輪をじっと眺め、少し考えてから外し、トレーへ戻した。

表情はも...

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