第530章 彼女を気絶させる

千葉清美は、鬱々としたまま酒をあおり続けていた。

護衛が彼女の傍らに立ち、「ボス、いったん引きましょう。比嘉さんも言ってたじゃないですか。ここに長居しないでほしいって。できるだけ早く離れたほうがいい」と低く促す。

顎で、海のほうを示した。

千葉清美が視線を投げると、クルーズ船の後方に小型艇が一隻、ぴたりとついている。

「……あれ、比嘉天啓の手配?」

信じがたい、といった声で問うと、護衛は頷いた。

「出る前に比嘉さんが念押ししてました。福江良平を連れ出せなかったら、すぐ小型艇で海上から離れろって」

千葉清美は首を振る。

「……諦めきれない。もう一度だけ、試したいの。彼が金田家に...

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