第109章 薬指

(福山真司の視点)

パーティー会場で、俺はグラスを空けては注ぎ、また空けては注いだ。

周りの連中は、せいぜい口を湿らせる程度にちびちび飲むか、グラスを片手に談笑している。なのに俺だけが、一杯飲み干しては次をつくる。まるで自分と張り合うみたいに。

視線が、ちらちらと俺に刺さる。

――福山社長、どうした?

そんな好奇心が顔に書いてある。

「福山社長……その、いったい……」

どこかの社長が寄ってきて、恐る恐る口を開いた。視線が無意識に俺の左手へ滑る。薬指には、何もない。

福山真司は結婚指輪をつけたことがない。三年だ。あの指輪はずっと、引き出しの奥で眠っている。

「俺は、離婚してな...

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