第111章 返金

(牧野結菜の視点)

マンションで、私はひとりソファに座り、スマホを開いて今月の支出を確認しようとしていた。

画面が点いた瞬間、指がぴたりと止まる。

口座に入金があった。——5,000万。

一瞬呆けて、それから思い出す。福山爺さんからの振り込みだ。

福山真司と離婚したと噂が広まったあと、福山爺さんがこっそり私に連絡をくれて、「三年間、つらい思いをさせた分の埋め合わせだ。新しい生活の足しにしなさい」と言った。

あのとき私は受け取らなかった。かといって拒みもしないで、そのまま放置した。いろいろ重なって、いつの間にか忘れていた。

でも今、数字として目に入った途端——やけに眩しくて、目が...

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