第114章 五分間

(牧野結菜の視点)

その一言が飛んだ瞬間、会社の栄誉について説明していた杉浦晴陽が、ぴたりと動きを止めた。青山明は青山明で、顔を見合わせて固まり、額にじわりと汗が浮く。

平山徹也の質問はあまりに直球で、あまりに私的だった。商談の場で口にするには、明らかに一線を越えている。

「平山社長、冗談はおやめください」

平静を装ったつもりだったのに、声は勝手に冷えていく。

「大学時代の賞なんて、小さな作品の話です。取るに足りません。こちらの栄誉の壁は、会社に大きく貢献した社員を称えるためのものですから」

――つまり、私はまだ入社したばかり。貢献もしていない。ここに飾られていないのは当然だ、と...

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