第118章 誰がお前に手を出すというのか

(牧野結菜の視点)

平山里穂子と話し終えたあと、胸の奥に澱んでいた息苦しさが、すうっと消えていった。

平山徹也の性格の悪さは骨の髄まで染みついている。けれど里穂子の“暴露”を聞いて、ようやく腑に落ちたのだ。

――あれは私だけが狙われていたわけじゃない。あの男は、誰に対しても同じように腐っている。

そう思うと、不思議なくらい気が楽になった。

ゴミ箱の中。自分でびりびりに引き裂いた名刺を見下ろして、馬鹿みたいだな、と笑いそうになる。

あんな人間に腹を立てるだけ、損だ。

深く息を吸い、私は意識を仕事へ戻した。

手元の案件をさっさと片づけて、離婚訴訟の準備に集中する――それだけ。

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