第12章 きっちり清算する

(牧野結菜の視点)

病院の消毒液の匂いが、ようやく鼻の奥から抜けていった。

私は、がらんとして冷えきった別荘へ戻る。

スマホの画面が、ぱっと点いた。村山愛未からのメッセージ。

一瞥しただけでわかる。勝者の誇示。

『真司兄がすごく優しくて』『姉ちゃんも身体大事にしてね』――そんな綺麗事が、行ごとに棘みたいに刺さる。

けれど、彼女は知らない。私はもう、痛まない。

表情を動かさないまま、長押しして削除。

ちょうど迷惑広告を消すみたいに、淡々と。静かに。

……ただ、スマホを置いた瞬間だった。

後頭部に、きりっと刺すような痛みが走る。続いて視界がぐらりと揺れ、天地がひっくり返るよう...

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