第120章 五千万

(牧野結菜の視点)

ほどなくして、防犯カメラの映像確認を担当していた警察官が、報告書を手に慌ただしく戻ってきた。

警察官は私をちらりと見て、どこか言いづらそうな顔になる。次いで平山徹也へ視線を移すと、額に細かな汗が浮いていた。

「平山社長、牧野さん、平山さん……会社前の防犯カメラの映像を確認しましたが、あの者たちは自分たちの言うように、ただ牧野さんを『お願いして』連れ戻そうとしたわけではありません」

言葉を選ぶように一拍置き、警察官はそれでも事実を告げた。

「行為の態様からして、未遂ではありますが……誘拐未遂に該当します」

「誘拐未遂? 未遂じゃないわよ、誘拐よ!」

平山里穂子...

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