第121章 彼の金はいらない

【牧野結菜の視点】

警察署を出た瞬間、夜風が顔にぶつかった。ひやりとした冷たさが、肌の上を撫でていく。

平山里穂子はさっきの衝撃からまだ抜けきれていないらしく、私の腕にしがみついたまま、口が止まらない。

「結菜! 1億だよ!? うちの兄貴、頭おかしいんじゃない? でもさ……福山真司のあのクソ野郎が、ぐうの音も出ない顔してたの、マジで最高だった!」

そう言って里穂子は私の手をぶんぶん揺らし、目をきらきらさせる。

「で、あの5,000万の補償は絶対に半分こ! ……いや、結菜が7で私が3! 結菜のほうが傷もひどいし、怖い思いもしたんだから!」

その興奮ぶりに、私は苦笑して首を横に振った...

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