第123章 彼女は逃げられない

(福山真司の視点)

タクシーが強引に停められた直後、外からドアを引き開けられた。

「福山社長、こちらへお戻りいただきます」

先頭に立つ警備隊長の声は、氷みたいに冷たかった。

胸が激しく上下する。目の奥は血走り、視界が赤い。今日は、どうしても――彼女に会わなきゃならない。

「どけ!」

喉が裂けるほど怒鳴り、俺は人垣へ突っ込んだ。

だが二歩も出ないうちに、左右から腕を掴まれる。警備が一人ずつ、俺の肘をがっちり固定した。暴れて足をばたつかせると、スーツの上着がびりっと裂けた。

「若様、失礼いたします」

隊長が手を上げる。屈強なボディーガードが数人、俺を押さえつけにかかった。肩も背...

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