第130章 彼はおかしい

(牧野結菜の視点)

平山里穂子と食事を終えて、私たちはマンションに戻った。

上着を脱いでキッチンに立ち、食器を片づける。里穂子はソファに丸まり、スマホをいじりながら、ときどき意味のよくわからない鼻歌みたいな声を漏らしていた。水の音に紛れてしまう程度で、私は気にも留めなかった。

手を拭いてリビングに戻ると、里穂子が画面を凝視していた。表情が妙だ。眉間はわずかに寄っているのに、口元だけが上がっている。笑いを堪えているようでもあり、首をかしげているようでもある。

「どうしたの?」

何気なく聞きながら隣に腰を下ろす。

里穂子は私をちらりと見て、言いかけては飲み込む。スマホを裏返して膝に置...

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