第131章 彼は狂った

(福山真司の視点)

俺は部屋に閉じ込められていた。

ドアは外から鍵が掛けられ、窓は板で打ち付けられている。廊下には二十四時間、見張りが立つ。親父は俺のスマホを取り上げ、外部との連絡手段を全部断った。檻に入れられた獣みたいに、苛立って、怒って、それでも何ひとつできない。

結菜がどうしているのか、わからない。

手首の傷は少しでも良くなったのか。ちゃんと薬を塗ったのか。

それとも前みたいに、怪我をしても黙って、ひとりで抱え込んでいるのか。

それに――結菜が、別の男と一緒にいたら?

その可能性を思っただけで、心臓を誰かに握り潰されるみたいに痛んで、息が詰まる。

「ドンドン」

ノック...

ログインして続きを読む