第133章 もう隠れたくない

(牧野結菜の視点)

リビングには、しばらく沈黙が落ちていた。

平山里穂子は天井を見つめたまま、何を考えているのか分からない。私も口を開かず、ソファに身を預けて、窓の外でゆっくり沈んでいく空を眺めていた。遠くの高層ビルにぽつぽつと灯りがともり、この街の夜がようやく動き出す。

そのとき、里穂子が勢いよく上体を起こした。何かが腑に落ちたみたいに。

「……よし」

さっきよりずっと芯のある声。瞳の奥に、小さな火が二つ灯る。

「遊びたいんでしょ? あちこちに色気振りまいてさ。だったら、こっちも付き合ってあげる」

私はその光を見つめたまま、すぐには止めなかった。平山里穂子と長い付き合いだ。あ...

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