第135章 お前は俺に頼んでいるのか?

(牧野結菜の視点)

「福山真司が、お前を名指しで呼んでる。提携の話をしろって」

月曜の朝。青山明は私をオフィスに呼び入れると、ドアを閉めてそう言った。

表情が妙に複雑だ。意味するところをわかっていながら、口にするのが気まずい――そんな顔。

指先が、ぴたりと止まる。

「行かない」

「結菜、しんどいのはわかってる」青山明の声には、どうしようもない諦めが混じっていた。「でも今回の案件は、あいつが直々に『お前が責任者で』って条件を出してきた」

会社傘下のセキュリティ関連会社が、ようやく福山グループの案件――向こう三年分のメンテナンス契約を取りかけた。

契約書も、ほとんどサイン寸前。

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