第143章 福山夫人

(牧野結菜の視点)

杉浦晴陽が顔を上げ、福山真司を見た。唇がわずかに動いたのに、言葉は出てこない。

福山真司はソファに座り直すと、鞄から書類を一部取り出し、テーブルの中央へすっと滑らせた。

「巨力グループは鼎盛グループにとって中核となるサプライヤーだ。おたくのチップの六割は、巨力から仕入れてる。違うか?」

杉浦晴陽は答えない。けれど、彼の身体が一瞬、こわばったのが見えた。

「昨夜、もう巨力グループの社長とは話をつけた。福山グループがプレミアム四〇%で巨力グループを全株買収する。買収が完了したら、巨力の提携契約は全部、俺が再審査する」

福山真司が目を上げ、杉浦晴陽をまっすぐ射抜く。...

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