第145章 何年も私を騙していた

(福山真司の視点)

廊下の人影が、少しずつ薄れていく。牧野結菜は俺の手からスマホを取り返した。今度は、俺も握り締めたりしなかった。

彼女は背を向けてエレベーターへ乗り込む。杉浦晴陽も続いた。扉が閉まる瞬間まで、結菜は一度もこちらを振り返らない。

俺は廊下に立ち尽くし、表示が跳ねるのを見ていた。7、6、5……やがて、地下1階で止まる。

――行った。

深く息を吸い、踵を返す。少し離れたところで岩瀬さんが縮こまり、息を殺していた。

「さっきの連中は、先に会社へ戻せ」

声が掠れて、自分でも驚くほどだった。

「それから……留置場だ」

二十分後、車は留置場の正面で止まった。

分厚いガ...

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