第152章 綻び

(牧野結菜の視点)

岩本源からは、それきりメッセージが来なかった。もう家に着いたんだろう、そう思っていた。

それから三十分ほどして、スマホがまた震えた。やっぱり彼だ。駐車場で平山徹也がぼうっとしているのを見かけて、ずっと我慢していたけれど、やっぱり送ってしまった――そんな調子の文面だった。

「牧野さん、さっき言い忘れました。平山徹也、帰りました。ひとりで車を出して。乗り込む前、駐車スペースの横でしばらく突っ立って、ずっとぼうっとしてました」

私はその一行を見つめたまま、返信しなかった。ぼうっとする? 平山徹也が?

車の横で、俯いて、動かない。何を考えていたんだろう。食事の席で聞いた...

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