第155章 里穂子

(牧野結菜の視点)

電話の向こうで、平山里穂子が息を切らしていた。まるで競技場を全力で走り抜けた直後みたいに荒い呼吸。声は焦っていて刺々しいのに、明らかにもう体力が尽きかけている。

それを聞きながら、私は口元だけ少しだけ持ち上げた。

「里穂子、落ち着きなって」

「落ち着いてるし! 別に怒ってない!」

声量だけは相変わらず大きい。でも、さっきより牙が鈍っている。

「ただ、あいつのあの態度が気に入らないの! 会えば口は悪いくせに、裏ではコソコソ小細工して……いったい何がしたいわけ!?」

「本当に久しぶりに、昔の話でもしたかったんじゃない? だって、もう長い付き合いでしょ」

「昔の...

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