第160章 決して後悔しない

(牧野結菜の視点)

福山真司が、私に訊いてきた。

自分のどこが杉浦晴陽に劣っているのか、と。

怒りで歪んだその顔を見た瞬間、胸の奥がどっと重くなる。

体が疲れているわけじゃない。骨の隙間から滲み出してくるような、三年かけても乾ききらなかった疲労だ。

「……聞きたい?」

声は小さかった。目の前の男二人にだけ届くくらい。

福山真司の喉仏が、ごくりと上下する。唇が動いたのに、言葉は出ない。

「頭からつま先まで、全部。あなたは先輩に勝てない」

福山真司の体から、ふっと力が抜けたみたいに揺れた。

「……何だって?」

「聞こえたでしょ。どこが劣るのかって? 全部よ。先輩は私が白湯を...

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