第165章 彼女が贈ったもの

(福山真司視点)

福山グループ、社長室。

俺は回転椅子にもたれ、指先でタブレットの画面を滑らせた。追跡班から上がってきた写真が、次々と切り替わっていく。

朝、彼女は白いコートを羽織り、髪を下ろしたままバッグを肩にかけて、マンション前の道を歩いている。次の一枚では、コンビニでコーヒーを買い、信号待ちの歩道に立っていた。さらに次。鼎盛グループの正面玄関をくぐる瞬間。横顔がカメラに抜かれ、口元は一本の直線になっている。

俺は最後の写真を拡大した。

痩せた。結婚した頃より頬骨が少し高く見え、顎のラインは鋭く、目のくぼみも深い。だが、それ以上に――纏う空気が違う。以前の、キッチンで俯いてばか...

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