第168章 福山を名乗る資格などない

(福山真司の視点)

車は地下駐車場に滑り込み、ドアが開いた。俺はひとりで降りる。顔は鉄みたいに硬い。右手の拳の関節には、車内で岩瀬が応急で巻いたガーゼが一周。血は止まっているはずなのに、裂けたところからまだじわじわ滲んで、白が暗赤に染みていた。

痛い。だが、胸の奥の痛みに比べれば――。

「福山社長、お手元は病院へ――」

「黙れ」

岩瀬はそれ以上、何も言わなかった。

エレベーターに乗り込み、最上階を押す。三十二階、三十三階。数字が跳ねるたび、頭の中が煮え立つ。

平山徹也――あいつ、何様だ。

どうしてあいつにカフスボタンなんか贈る。

どうしてそれを、わざわざ俺の前で見せびらかす...

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