第18章 彼女だけ

(福山真司の視点)

俺は、どうしてあんなふうに訊いたんだ。

「こんな大ごとになって、どうして真っ先に俺に電話しなかった」――口に出した瞬間、自分がどれほど馬鹿げたことを言ったか思い知らされた。彼女が俺に電話する理由なんて、どこにある。追い出したのも俺、連れ戻したのも俺だ。別荘に閉じ込め、携帯を取り上げ、外出するにも報告させた。そんな相手に、どうして「助けて」と電話できる?

あの瞬間、ようやく気づいた。あの問いは彼女に向けたものじゃない。自分自身に向けたものだ。自分の手で逃げ道を全部塞いだ、その自分に。

俺はその場に立ち尽くした。胸の奥に濡れた綿を詰め込まれたみたいに重くて、息がうまく...

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