第191章 食事を届ける

(牧野結菜の視点)

翌日、土曜日。

いつもより早く目が覚めた。

窓の外はまだ薄明るい程度で、庭から小鳥のさえずりが細く届く。ちりちり、きらきら。誰かが弦をつま弾いているみたいな音だった。

しばらくベッドに転がったまま、今日の献立を頭の中で三回はなぞる。牛すじのトマト煮込みは最低でも二時間煮ないと、とろとろにならない。焼き魚は新しい魚じゃないと駄目。野菜炒めは彼の好きな野菜をいくつか。仕上げに冬瓜の鶏そぼろ煮で胃を温める。

平山里穂子さんが言っていた。徹也さんは胃が弱いから、あっさりしたものがいい、と。

私は起き上がった。洗面台で顔を洗い、鏡の中の自分をちらりと見る。唇が少し乾いて...

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