第192章 二度と食べられない

(福山真司の視点)

留置場の独房。岩瀬が来た。表情がどこか引っかかる。

「福山社長、村山愛未のほうで動きがありました」

ペンを置き、顔を上げる。紙の上のインクはまだ乾いていない。なのに、文字がまるで頭に入らなかった。

「荷物を一つ受け取ってます。中から青いベルベットの箱を取り出して、その場で写真を撮って、何本か電話をかけた。それからそのまま五つ星ホテルのプレジデンシャルスイートにチェックインしました」

岩瀬は声を落とす。

「追跡番号も当たりました。海外からの国際便で、差出人は村山蘭子。……この女、十年前に亡くなってます」

指先が、ほんのわずか止まる。驚いたからじゃない。胃の奥か...

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