第200章 謎の買い手

(福山真司の視点)

岩瀬が面会に来たとき、分厚いファイルを抱えていた。椅子に腰を下ろし、ガラス越しに俺を見つめる。顔色が、いつもと違う。

「福山社長。あのネックレスの件、動きがありました」

岩瀬はファイルをガラスの仕切りの外側に置き、いちばん上の資料を開いた。声はぐっと低い。

「落札者が判明しました。幸村。三十二歳、帝京市出身。幸村グループの社長です。資産規模は国内トップクラス。ただ、表に出ない家で……外部の情報はほとんどありません。徹底して目立たず、でもいざとなれば手段を選ばない。そういう一族です」

幸村家――名前だけは知っている。商談で何度かかすったことはあるが、いつも間に仲介...

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