第203章 二本の線

(福山真司の視点)

岩瀬が来たとき、後ろには鉄也がついていた。二人とも顔色が冴えない。長距離を走ってきた直後みたいに、息が微かに荒い。岩瀬はファイルをガラスの仕切り板の上に置くと、表紙をめくり、いつもより早口で切り出した。

「福山社長、幸村千弘のほうが動きました。今日の午後、オフィスで古いノートをひっくり返してます。幸村の爺さんが古い遺品の中から見つけたものらしくて、扉に『帝京市旧縁』って書いてあったそうです。中には昔のつながりがずらっと並んでて、もう時代が切れた相手には『死亡』『移民』みたいな注釈までついてました」

俺は目を上げる。死亡。幸村家は二十年以上前に帝京市を離れ、今になって...

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