第212章 握り潰す

(福山真司の視点)

集中治療室の面会窓は、冷えきったガラス一枚を挟んでいる。俺は廊下の隅に立ったまま、近づけなかった。窓の前には幸村千弘がいて、微動だにしない。中では牧野結菜がベッドに横たわり、身体じゅうに管が繋がれている。血の気のない白い顔。額の青あざが照明に浮かび上がり、やけに目に刺さった。

その顔を見つめたまま、俺の手は勝手に握り締められていた。

心配しているわけじゃない。そんな資格はない。

ただ、胸の奥に何かが詰まって、息がしづらい。言葉にできない、鈍い圧迫感。

幸村千弘の手がガラスに触れていた。指先が、かすかに震えている。何を言っているのかは聞こえないのに、唇だけが動いて...

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