第213章 バックファイア

(福山真司の視点)

廊下の灯りは、夜明け前から朝までつけっぱなしだった。

隅の長椅子に腰を下ろしたまま、どれだけ時間が経ったのか。脚はとうに痺れているのに、動く気になれない。

幸村千弘は面会窓の前に立ち続けていた。背筋はまっすぐで、壁に打ち込まれた鉄の釘みたいに微動だにしない。

幸村母は幸村父の肩にもたれて眠っている。頬には、乾ききらない涙の筋。

平山里穂子は面会窓の反対側に椅子を持ってきて座り、ときどき中を覗いては、スマホに視線を落として数件だけ返信していた。

平山徹也が出ていってから、廊下はずいぶん静かになった。

去り際は慌ただしかった。革靴が床を叩く音が重くて速い。何か差...

ログインして続きを読む