第229章 最悪な縁

【福山真司の視点】

病室のドアが押し開けられた。

祖父が杖をつきながら入ってくる。付き添いはいない。

数日前より歩みが遅い。杖が床を叩く音も、以前みたいに小気味よく響かない。少し引きずるようで、まるで一歩ごとに重さを量っているみたいだった。祖父はベッド脇まで来ると椅子を引き寄せ、腰を下ろす。杖を膝の上に横たえた。

「真司、今日は耳の痛いことを言うぞ。お前と牧野結菜のことはな、最初から最後まで、どうしようもない泥沼だ」

俺は何も言えなかった。

カーテンの隙間から差し込む光が、祖父の手の甲に落ちる。茶色のシミ。浮き出た血管は、干上がってひび割れた川底みたいだ。

……老けたな。

こ...

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