第232章 ベッドの下

(牧野結菜の視点)

夜九時過ぎ、平山里穂子から自撮りが送られてきた。青いロングドレス、床まで届く大きな窓。その向こうには、街じゅうの夜景が広がっている。

『今夜、私が一番目立ってる』

そう書いてあった。

私は二文字だけ返した。

『綺麗』

するとすぐ、拗ねたみたいに返ってくる。

『それ、そっけなくない?』

仕方なく、もう一行。

『会場で一番綺麗』

笑い顔のスタンプがずらっと並び、『お酒注ぎに行ってくる』で終わった。

スマホの画面がすっと暗くなる。

病室には、機械の「ピッ……」という音が、ときどき落ちるだけ。

私は天井を見つめたまま、頭の中で同じ言葉を何度も転がしていた...

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