第238章 2枚のカード

【福山真司の視点】

岩瀬が裏口から忍び込んできたとき、俺はもう、ベッドの縁に腰かけたまま半日を潰していた。窓の外の光は白からくすんだ黄色へ、くすんだ黄色から暗い赤へと沈んでいく。冷めていく鉄みたいに。胃の奥はまだじくじく痛み、唇は切れ、顎には無精ひげが浮いている。テーブルの水はとっくに冷え切っていたのに、手を伸ばす気にもならなかった。

「真司様、幸村家のほう、動きがありました」

岩瀬は声を落とし、ベッドの端に腰を下ろす。きょろきょろと周囲を窺う仕草は、壁に耳でもあるみたいで落ち着かない。

「幸村千弘が、村山愛未の独房に手を入れたようです。あの女の房、傷跡の男と……それから傭兵の男の隣...

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