第24章 三千万

(福山真司の視点)

別荘を出てから、もう半月。俺は一度も戻っていない。

村山愛未を連れて、市中心部のマンションに移った。最初はそれでも何とかなったが、すぐに気づいた。――こいつ、料理ができない。毎日デリバリーかレストラン。脂っこいものばかりで、胃が悲鳴を上げる。

さっきだ。深夜のオフィスで書類を片づけた直後、また胃が痛み出した。波みたいに襲ってきて、内側をねじられているような痛み。革張りの椅子にもたれ、額には冷や汗が滲む。

痛みは手みたいに、胃の奥から上へ掻き出してくる。――そのとき、不意に鼻先をかすめた気がした。熱い粥の匂い。

空気の匂いじゃない。身体の記憶の匂いだ。

以前は、...

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