第43章 彼はまだ待っている

(福山真司の視点)

オフィスの冷房はきついくらいに効いているのに、妙に息苦しかった。夏の蒸し暑さとは違う。骨の隙間からじわじわ滲み出してくるような苛立ちで、どうしても抑え込めない。

岩瀬が、できたばかりのマンションの契約書を手にして、俺の前に立っていた。

「福山社長、ご依頼のマンション契約書、準備が整いました」

「ああ」

そう返しながらも、視線はパソコンの画面に貼りついたままだった。表示されているのは社内の連絡網。何度も何度も見返した。部署も名前も、全部見覚えがある。だが、俺が探しているものはどこにもない。

何を探しているのか、自分でもはっきりしない。

あいつの名前か――いや、...

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