第53章 君は自分が最も嫌っていた姿になった

(福山真司の視点)

「番号なら、とっくに調べてある」

呼吸が、ひゅっと喉で止まった。スマホを握る指先が、ぎり、と食い込む。

……やっぱり。

祖父は牧野結菜をいちばん可愛がっている。手段なんていくらでもある。

「寄こせ」

口調は自分でも驚くほど当然だった。

受話器の向こうで、祖父が鼻で嗤う。

「寄こせ? 真司、お前は今、どんな立場で結菜の連絡先を要求してる? 自分で署名した離婚協議書でも、手渡ししに行く気か」

「違う! あれはあいつが偽造したんだ!」

我慢の糸が切れた。耳元の受話器に向かって怒鳴る。

「追い詰めるためなら何でもする女だ! 俺の署名を捏造して……そんな資格、...

ログインして続きを読む