第61章 彼女のことを好きになったのか

(福山真司の視点)

福山グループ、社長室。

床には書類、砕けたガラス、倒れた花瓶。

――めちゃくちゃだ。

牧野結菜は俺のものだ。俺、福山真司の妻だ。

離婚するにしても、言い出すのは俺であるべきだろ。

それなのに――それなのに、俺の目の前で別の男と一緒にいるなんて……!

「ふ……福山社長……」

岩瀬が、散らかった室内の真ん中で立ち尽くしていた。手には、技術部から持ち帰った予備機。俺が叩き壊したスマホの代わりだ。

「ハッカーのほうが……連絡つきません。それに社長、もう引き返しましょう。これは……犯罪です……」

「犯罪?」

思わず笑いが漏れた。笑える。笑えるはずがないのに。

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