第72章 村山さんと結婚?

(福山真司の視点)

プツ……プツ……プツ……

通話は、容赦なく切られた。

俺はその場で固まった。力の抜けた指からスマホが滑り落ち、「パシャン」と乾いた音を立てて床に叩きつけられる。画面には蜘蛛の巣みたいな亀裂。なのに俺は、見てもいない。聞こえてもいない。ただ受話器を当てていた姿勢のまま、動けなかった。

――愛したことなんて、一度もない。

――これは取引だった。

そう言った。

じゃあ、七年の片想いも、あの日記に綴られていた息が詰まるほどの言葉も、俺に向けられたものじゃない。

じゃあ、三年の結婚生活で見せた優しさも従順さも、全部――演技だった。

ずっと俺は、上から施してやってい...

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