第76章 愛してる

(福山真司の視点)

警察署。目に刺さる蛍光灯の白さの下で、彼女は冷たいパイプ椅子に腰かけ、淡々と供述調書を取られていた。出来事を順序立てて説明するだけ。話を盛ることも、余計な付け足しもない。声の揺れすら、ほとんどない。

少し離れた椅子には杉浦晴陽が座っていた。口元から頬にかけてガーゼが貼られ、こめかみも赤く腫れている。みっともないと言えばみっともない。だが、彼の視線は終始彼女に釘づけで、そこにあるのは不安と心配だけだった。

彼女が調書を終えて出てくる。

「先輩」

彼女は彼の前で足を止め、傷の具合を見て、ようやく目の奥に申し訳なさを滲ませた。

「巻き込んでしまって、ごめんなさい。早...

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