第77章 彼女はあなたの命を救ったことがある

(福山真司の視点)

俺は全身が凍りついたみたいに、その場に立ち尽くしていた。魂だけが抜け落ちたようで、頭の中は真っ白だ。

そのとき、警察官が一人、書類を手に出てきた。

「牧野さん、こちらが示談書です。署名していただければ、こちらは取り下げの手続きに入れます」

彼女はすぐには受け取らない。

「署名はします。ただし条件があります。福山家として保証してください。今後いっさい、福山さんがどんな形であれ私の生活に関わらないこと。私に接触しないこと。もしまた何かあれば、次は示談にはしません。弁護士を通して、正式に訴えます」

言葉は澄み切っていて、逃げ道がなかった。

相談ではない。最終宣告だ...

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