第85章 私はこのような保護はいらない

(牧野結菜の視点)

夜が更けていく。

私のマンションは明るい。会社で好き勝手に囁かれている噂なんて、もう相手にしない。私はただ、机に向かって、明日の週次ミーティングで説明するための資料を淡々とまとめていた。

誰かに庇ってもらう必要なんてない。自分の足で立って、正々堂々、潔白を取り戻すだけだ。

そのとき――スマホの着信音が、静けさを乱暴に引き裂いた。

平山里穂子だ。

通話ボタンを押した瞬間、彼女の騒がしい声が耳に飛び込んでくる。

「結菜! 聞いてよ、ヤバい大ニュース! 絶対、想像つかないから!」

「さっき父さんが食事中に言ってたんだけど、最近“大物”と組む話が進んでるんだって。...

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