第88章 見知らぬ人

(牧野結菜の視点)

退勤間際のオフィスフロアは、どこか肩の力が抜けた空気に包まれていた。私はデスクの上を手早く片づけながら、残業するつもりでいた。午後の会議で遅れた分を取り戻さないといけない。

――実力以外にケチをつけられたくない。

そんな私のところへ、同僚たちがぞろぞろと集まってくる。みんな、やけに朗らかな笑顔だった。

「牧野さん、一緒にご飯行きません? 今日は打ち上げ兼歓迎会ってことで!」

「そうそう! 今日の牧野さん、うちの功労者ですからね。自分の潔白を証明しただけじゃなくて、あいつらの顔面もきっちり潰して、デザイン部の面目を保ってくれたんです。祝わないと!」

「行きましょ...

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