第89章 追い詰める

(牧野結菜の視点)

タクシーの車内は暖房が効きすぎるほどで、窓ガラスには薄い水滴の膜がふわりと張りついていた。

平山里穂子が私の腕にしがみつき、肩に顔を埋めたまま、かすかにすすり泣いている。身体は小刻みに震え、ぎゅっと縮こまった姿は、雨に濡れた子猫みたいだった。

「結菜、ひどすぎるよ……」

鼻声が濃い。

「私、行かなかったら、お父さんが全部のカード止めるって。あれ、私を売る気だよ。あの……なんとかっていう、くだらない提携のために!」

背中をそっと撫でながら、胸の内に重い石を抱えたような息苦しさが広がる。まさか福山真司が、平山里穂子にまで手を伸ばしてくるなんて。

何が目的?

私...

ログインして続きを読む