第91章 法廷で会おう

(牧野結菜の視点)

私は誰もいない自分のデスクへ戻ると、コップを掴み、冷たい水を一気に流し込んだ。喉を滑り落ちる氷みたいな感触で、ようやく胸の奥の熱が少しだけ引いていく。

福山真司……何様のつもり?

どうして、そこまで卑怯になれるの。

こんなやり方で私を「福山夫人」という吐き気のする肩書きに縛りつけ、社内中の笑いものにする。

私が積み上げてきた努力も、必死の説明も、全部まとめて――ただの茶番に変えるために。

机の上でスマホがぶるぶると震えた。画面には「先輩」。

私は深く息を吸って、通話ボタンを押す。

「結菜、大丈夫か? 福山真司の件、今知った。怖がらなくていい。もう法務部に―...

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