第243章

鈴木芳子は黒川綾を弟に押し付けると、そのまま踵を返してその場を後にした。

怪しまれないよう、彼女はあえて黒川綾の車を会社付近まで運転し、監視カメラの死角となる場所に乗り捨てた。さらに、黒川綾の持ち物をすべて処分し、徹底的な証拠隠滅を図る。

これで、たとえ誰かが黒川綾の車を追跡したとしても、自分まで足がつくことは絶対にないはずだ。

全てを終え、鈴木芳子はようやく安堵の息を漏らした。

かつて白井雪叶の会社でチーフデザイナーを務めていた自分だ。黒川綾がいなくなった今、あちらは確実に人手不足に陥る。この機に乗じて交渉を持ちかけ、条件を提示すればいい。

白井雪叶が拒絶するはずがない。

ただ...

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