第249章

金を手に入れると、鈴木芳子の弟の声色はようやく軟化した。

「金があるんなら、もっと早(はよ)く寄越せってんだ。無駄口叩かせてんじゃねえよ、まったく胸糞悪(むなくそわ)りぃ。これからは言われる前に、きっちり時間通り振り込め。いいな?」

弟は一方的にそう言い捨て、通話を切った。鈴木芳子が今置かれている状況など、歯牙にもかけていないのだ。

鈴木芳子は膝を抱え、嗚咽を漏らした。必死になって今の生活を維持してきたというのに、一体自分は何を求めていたのだろうか。

先ほどあれほど窮状を訴えたにもかかわらず、弟からは労りの言葉一つなかった。弟は自分を家族としてではなく、単なる金のなる木——いや、現金...

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