第251章

秘書は黒川綾のスマートフォンを解析に回したが、そこから検出されたのは無数の雑多な指紋ばかりだった。その多くは、彼女の会社の同僚のものと判明した。

黒川綾はデザイナーという職務上、社内での接触も頻繁であり、端末に同僚の指紋が残っていても何ら不自然ではない。

このスマートフォンから得られる情報は皆無に等しい。水原拓真は端末を机に置くと、部下たちにさらなる手掛かりを追うよう命じた。

焦燥に駆られる水原のもとに、秘書からようやく一筋の光明となる報告がもたらされた。

防犯カメラの映像を徹底的に洗った結果、黒川綾の車が確かに山間部へ向かった事実が判明したのだ。だが、そこは人里離れた僻地であり、車...

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