第272章

「無理強いしたところで、何の意味もない。だから俺と白井雪葉がよりを戻すなんてありえないし、お前のその願いが叶うこともないんだ」

黒川綾は山崎景年の言葉に、ただ困惑するばかりだった。たとえ二人が復縁できないとしても、自分には何の関係もないはずだ。

なぜわざわざ電話をかけてきてまで、そんなことを告げるのか。黒川綾は咄嗟に言葉が出てこず、どう返すべきか迷ってしまった。

受話器の向こうで、山崎景年が重く息を吐き出す気配がした。やがて、彼は静かに口を開く。

「白井雪葉の気持ちを弄びたくはないんだ。俺の心の中にいるのは、最初から最後までお前だけだ。……お前が今、水原拓真と一緒だということは分かっ...

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