第288章

「残りの報酬は、結果が出てからよ」

 加藤枝子はその私立探偵と無駄話をする気などさらさらなく、一枚のカードを彼の目の前に放るように置いた。

「手付金としては十分な額が入ってるわ。妙な小細工はしないでね。あたし、コケにされるのが一番嫌いなの。もし裏切るような真似をしたら……それなりの代償を払ってもらうから」

 この私立探偵も、当然ながら加藤枝子の素性は調べ上げていた。目的のためなら手段を選ばない冷酷な女だということは承知している。かつて彼女は、売り出し中の新人タレントを何人も執拗に追い詰め、地獄を見せたという噂がある。それらの悪評が真実であることを、彼はすでに掴んでいた。

 こういう手...

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